2011年11月30日水曜日

特発性前庭疾患

この病気は主として突然しかも中年から老齢の時期に起こる病気で、犬種に関係なく、どの犬にも起こります。そして前庭の病気の中では内耳感染に続いて、2番目に多い急性の前庭異常です。発症してから24時間以内に病気の症状がピークになることが多く、その症状は軽度なものから重度なものまであります。またある季節に発生して他の季節はまったく症状を示さないこともあります。
この病気になると、平衡感覚や体のバランスを保つことが出来なくなるほか、様々な脳神経異常を起こします。その徴候は時に分かりづらいこともあり、突然の発病に飼い主さんは慌てさせられるケースも多いようです。前庭障害により体のバランスをうまく保つことが出来なくなるため、めまいやよろめきが起こります。そしてまっすぐ歩くことが出来なくなり重症の場合は倒れこんでしまいます。さらに嘔吐なども起こり時にはこらえられないほどになりますが、それは一過性です。
また、首の筋肉の収縮力が低下することで首が曲がってしまいます。それは動物特有の「捻転斜頚」と呼ばれるもので、そのほかに眼球がグルグル回転する「眼振」が見られます。その後、眼振は数日で見られなくなりますがよろめきなどの運動失調は3~6週間続き、その後徐々に回復に向かいます。
一般的に特発性前庭疾患は治癒する病気ですが、回復後も後遺症として生涯にわたってわずかな斜頚が続くことがあります。 特発性前庭疾患は時間と共に穏やかに改善していくケースがほとんどですが、症状が徐々に重くなっていくようなら要注意です。その場合は脳に異常がある可能性があるため、改善は難しくなります。
また、老齢の時期に多く発生するため、このまま痴呆の症状が出て起立不能の状態が続き、寝たきりになるケースもあります。 この病気は時間が経てばほとんどが回復する病気ですが、平衡感覚やバランスが取れなくなる病気のため、回復するまでの間は飼い主さんの自宅での看護が必要不可欠になります。
よろめきが起こって転倒してしまう場合は、倒れた時に外傷を負わないように角のある家具をクッションや座布団などでやわらかいものでカバーしたり、イスやテーブルなどがある場合はできる限り置かないようにし、広い場所を設けます。また、寝たきりになると床ずれが出来てしまうことも多くなります。そのため時間帯によって寝返りをさせたり、梱包用のエアシート(プチプチシート)を寝床に重ねて敷くことによって床ずれを軽減させましょう。

2011年11月25日金曜日

ホルネル症候群

老犬がけっこう多い病気だそうです。
眼の周りの交感神経の障害で、犬の上眼瞼の下垂や 瞳孔の縮瞳(瞳孔が縮み黒目の部分が小さく見えること)、 瞬膜の突出、 眼球の陥没(眼球が内側へ落ち込むこと)などの症状が出ます。
原因はさまざまですが、これらの似たような症状が出ます。
たいがいは片目がアカンベーをしたような状態になり、瞬膜が見え、悪いほうの目だけ涙目になります。
充分注意して閉じた目のまぶたを両目触ってチェックすると悪いほうの眼が小さくなっているのがわかります。
原因はさまざまですので、ただ単に愛犬が老犬顔になったと思ってやり過ごさずに一度診察してもらったほうが良いです。